2016年2月3日
マービン・バウワー
米マッキンゼー・アンド・カンパニーを世界的な経営コンサルティング企業に育てたマービン・バウワー氏の軌跡をたどり、功績を明らかにする。
バウワー氏は経営コンサルティングという職業を定義し、概念を浸透させた人物である。法律事務所で働いていた時代、大恐慌で倒産した企業の後始末を手がけるうちに、経営者には外部からの助けが必要だと気づいたのがきっかけだ。その後、経営システムの改善・効率化などを主とするマネジメント・エンジニアリング・ファームだったマッキンゼーに入社。「全国展開する」「共通の価値観・共通の問題解決手法・実行を確立する」「高い専門能力を持つ意欲的な人材を集めて育てる」といったビジョンを掲げ、経営者や指導者に高度なコンサルティングを提供する組織に変えていった。
バウワー氏は有言実行を旨とし、マッキンゼーにいた59年という長い年月、ビジョンの実現に率先して尽くした。本書は時系列に従い、彼が下した重要な9つの決断を振り返る。「MBA(経営学修士)の採用」「海外進出」「女性の登用」など、ビジネス界に新しい地平を切り開いたものが多い。どのエピソードからもバウワー氏の信念の強さ、類まれなリーダーシップ、高潔な人格などが伝わってくる。